第5章|費用構造と投資対効果

LEDビジョン実践ガイド

5-1 LEDビジョンの費用はなぜ高いのか?

LEDビジョンは「モニターの延長」と考えると、想像以上に高額だと感じるかもしれない。
だがその理由は明確で、ハードだけでなく、安全・施工・制御を含む“総合設備”としての側面を持つからである。

LEDビジョン導入にかかる費用は、次の5つの構成要素に分けて考えると整理しやすい。


5-2 初期費用の内訳

項目内容概算目安(例)
① 製品本体費用LEDパネル、キャビネット、制御機器40万円〜100万円/㎡(ピッチ・仕様により変動)
② 設置工事費鉄骨工事・電気工事・施工人件費総額の20〜30%程度が目安
③ 制御・再生機器費STB、再生ソフト、PCなど10万〜50万円程度
④ 輸送・搬入費用大型・重量物のため地域差あり数万〜十数万円
⑤ 筐体・フレーム製作自立型や屋外設置では不可欠10万〜100万円以上(サイズ次第)

例:屋外用LEDビジョン(3m × 2m = 6㎡、P4、常設)
→ 合計:約400万円〜600万円が一般的なレンジ。


5-3 ランニングコストと維持費

導入後も、運用には少なからず費用がかかる。主なランニングコストは以下のとおり。

● 電気代

  • 消費電力は1㎡あたり最大で約800〜1,200W(高輝度モデルの場合)
  • 実使用では調光機能やコンテンツ内容により50〜70%で稼働
  • 例:6㎡、1日8時間使用 → 月5,000〜10,000円程度

● メンテナンス・部品交換

  • 部品交換(LEDモジュール、受信カードなど)
  • 年1回程度の点検・清掃が理想的(別途契約 or 自主対応)

● コンテンツ制作費

  • 静止画:数千〜1万円/点、動画:5万〜30万円程度/本
  • 社内制作か、外注するかで大きく変動する

5-4 減価償却と資産計上のポイント

LEDビジョンは基本的に**機械装置(耐用年数:5〜10年)**として扱われ、固定資産として計上される。

  • 法人税法上の耐用年数:一般的には5年(独立設備の場合)
  • 減価償却は定率法/定額法の選択によるが、初年度負担を考慮して選定

※耐用年数は「建物附属設備」扱い(10年)になる場合もあるため、税理士との確認が必要


5-5 投資対効果(ROI)の考え方

LEDビジョンは「映像装置」というより、**収益やブランド力を高める“マーケティング投資”**である。その効果をどう測るかが導入可否の判断基準となる。

● ROI(投資回収率)の基本式:

ROI(%)=(年間利益 ÷ 初期投資額)× 100

たとえば、次のようなモデルが考えられる:


【モデルA|飲食店の店頭サイネージ】

  • 初期投資:300万円
  • 集客増による月売上UP:+15万円(年間180万円)
  • 原価・人件費差し引き粗利:月+9万円 → 年間+108万円

→ ROI:108万 ÷ 300万 × 100 ≒ 36%/年(≒3年以内に回収)


【モデルB|テナントビル壁面広告】

  • 初期投資:600万円(屋外大型+工事)
  • 月額広告掲載料:5社×5万円=月25万円
  • 年間収益:25万円 × 12ヶ月 = 300万円

→ ROI:300万 ÷ 600万 × 100 = 50%/年(≒2年以内に回収)


5-6 導入コストを下げる方法

費用面で導入をためらうケースは多いが、以下のような工夫で初期負担を抑えることも可能だ。

方法概要
リース契約月額支払型で初期費用不要。途中解約・メンテナンス条件に注意。
小型からスタート1〜2㎡から始めて、拡張可能な構成にする(屋内・仮設に有効)
補助金活用地域振興・デジタル化補助金などを活用(例:中小企業デジタル化支援)
コンテンツ内製外注せずにPowerPointやCanvaなどで自作する運用も可能
筐体簡素化設置方法を「吊り」や「壁掛け」にすることでフレーム費を削減

5-7 高額投資に見合う“価値”とは?

LEDビジョンの価値は、単なるROIにとどまらない。

  • ブランド強化:大型映像による企業・店の“顔”づくり
  • 差別化:競合との差を「視覚」でつける
  • 情報鮮度の向上:チラシ・POPではできない即時更新
  • 運用の自動化:スケジュール配信で販促の“手離れ”実現

これらの価値をどう事業に取り入れるかが、「コスト」ではなく**“投資”として成立するかどうか**の分かれ道となる。

まとめ|費用と投資対効果の考え方

LEDビジョンは高額ですが、それ以上の効果を発揮する**“投資型ツール”**です。
費用内訳を把握し、運用モデルごとのROIをシミュレーションすることで、導入判断が現実的になります。
「高いか安いか」ではなく、「どう回収するか」という視点を持ちましょう。

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