第5章|費用とROIをどう考えるか

――導入は「コスト」ではなく「投資」

5-1|導入費用の全体像をつかむ

デジタルサイネージ導入にかかる費用は、大きく以下の5カテゴリに分かれます。

費用項目内容概算価格帯(参考)
ハードウェア費ディスプレイ、再生機器(STB)、スタンド等小型LCD:5万〜30万円/大型LED:50万〜500万円
ソフトウェア費CMS(配信管理システム)ライセンス、アプリ月額3,000〜30,000円程度
コンテンツ制作費動画・静止画・テンプレートの制作1本5,000〜10万円以上
設置・施工費工事・電源・ネットワーク設定など3万〜50万円前後
保守・運用費保守契約・修理・月次サポート月額5,000〜20,000円程度

※上記はあくまで目安であり、屋内外、規模、地域によって変動します。


5-2|「購入」と「レンタル」の違いと選び方

【購入】

  • 長期運用を前提とする場合に向く
  • 初期費用は高いが、長期的には割安
  • 機器は自社資産となる

【レンタル】

  • 初期費用を抑えてスモールスタートできる
  • 故障対応や代替機が含まれるケースが多い
  • 月額費用はランニングコストとして継続
項目購入型レンタル型
初期費用高い低い
ランニング費用安い(保守程度)月額費用が継続
契約期間自由契約条件により数ヶ月〜数年
目的本格導入・社内標準化短期利用・実験導入

5-3|効果を数値で捉える「ROI」思考

■ ROI(Return on Investment)とは?

投資した費用に対して、どれだけの効果(利益)があったかを示す指標です。

textコピーする編集するROI(%)=(利益 − 費用)÷ 費用 × 100

たとえば:

  • 導入費:50万円
  • 来店数の増加で月商が月10万円アップ → 年間120万円アップ
    → ROI=(120万−50万)÷ 50万 × 100=140%

■ 見える効果・見えにくい効果

効果の種類測定方法・指標例
来店数の増加人流カウント/POS来店履歴
購買率の増加購入率/平均単価
滞在時間の増加顧客動線分析・ヒートマップ
ブランド認知SNS投稿数/クチコミ・リピート率
業務効率改善接客時間の削減/スタッフ工数減

ROIは「売上」だけでなく、時間・人件費の削減効果も含めて評価すべきです。


5-4|費用対効果を最大化するコツ

  1. 明確なKPI(目標)を設定する
     → 例:1ヶ月後に来店率20%アップ、SNS投稿数30件増 など
  2. 初期はテンプレートやAIツールを活用し、コストを抑える
     → 自社制作+無料ツールでスモールスタート可
  3. 「場所」と「時間帯」に合った運用で無駄をなくす
     → 昼と夜、平日と休日で表示内容を最適化
  4. 1拠点だけでなく、複数店舗展開でコスト分散
     → CMS連携で一括運用すれば効率化&コスト低減に

5-5|実例:中小店舗の回収モデル(シミュレーション)

■ 想定条件

  • 飲食店(屋内)に50インチ液晶1台導入
  • 購入+自社コンテンツ制作+CMS契約
  • 来店者数:平均月1,000人
  • 平均客単価:1,200円
  • 目標来店数増加:10%(100人/月)

■ 収支イメージ

項目金額
初期費用合計約30万円
月間増加売上1,200円 × 100人=12万円
年間増加売上12万円 × 12ヶ月=144万円
ROI(1年換算)(144万−30万)÷30万=380%

1年以内に完全回収し、2年目以降は利益へ転化


5-6|社内稟議・説得のための「費用対効果資料」作成のコツ

ポイント内容例
図で見せるビフォー・アフターの顧客動線、導入写真等
比較で示す紙広告や人件費との費用対効果の違い
数字で語るROI、CV率、月次売上変化
事例を引く同業他社の成功事例
KPI設定を明示する導入前にKGI・KPIを提示する

コラム|「売上UPが目的ではない」導入も増えている

最近では、店舗ブランディングや施設の雰囲気作りの一環として導入されるケースも増加しています。
特に美容室、カフェ、病院、オフィス受付では、「売上効果は測れないが、来訪者の印象が良くなった」「口コミ評価が上がった」という声も多く、
“体験価値”というROIの再定義も必要なフェーズに来ています。

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