9-1 なぜ法規制が問題になるのか?
LEDビジョンは**「情報表示装置」であると同時に、「広告物」「建築物附属設備」でもある**。
そのため、設置には以下のような複数の法律・基準が関係してくる。
● 主な関係法規とその管轄
| 分類 | 関係法規 | 管轄 |
|---|---|---|
| 広告として | 屋外広告物法・各自治体の条例 | 都道府県・市区町村 |
| 建築として | 建築基準法・建築確認申請 | 建築主事・特定行政庁 |
| 道路上に出す場合 | 道路法・道路占用許可 | 警察署・道路管理者 |
| 景観に関係する場合 | 景観条例・都市景観条例 | 自治体の都市整備課など |
導入者が最も混乱しやすいのは、「自治体によって許可要件がまったく異なる」という点である。
9-2 屋外広告物条例とは?
**屋外広告物条例(略称:屋外条例)**は、各都道府県や政令市が定める“看板のルール”である。
LEDビジョンはこの中の「電飾広告」「光る広告物」「動画広告」に該当する。
● 一般的な規制項目
- 明るさの上限(cd/㎡)
- 点滅間隔の制限(5秒以上、点滅禁止など)
- 動画表示の可否(静止画限定区域も多い)
- 設置場所の制限(住宅地/文教地区は不可など)
- 高さ制限(例:地面から4m以内、建物上設置は不可など)
● 地域ごとに異なる例(比較)
| 地域 | 動画広告 | 点滅 | 明るさ |
|---|---|---|---|
| 東京都(23区) | 一部地域で可 | 10秒以上 | 500〜3,000cd/㎡ |
| 大阪市 | 原則不可(静止画のみ) | 禁止区域あり | 地域により変動 |
| 福岡市 | 商業地のみ可 | 可(15秒以上) | 夜間1,000cd/㎡以下 |
「他の店でやっているから大丈夫」ではなく、申請先の担当課に事前確認を取ることが絶対条件である。
9-3 建築基準法と設置構造の注意点
LEDビジョンは、特に屋外で常設する場合、「構造物」としての安全性が問われる。
● 建築基準法の該当条文
- 看板の高さが一定以上になる場合(例:4m以上)、「建築確認申請」が必要
- 屋根の上に設置する場合は、「屋上工作物」として強度・避雷対策が求められる
● 構造安全性のチェックポイント
- 鉄骨設計に「風荷重(最大風速30〜34m/s)」の計算がされているか
- 基礎が必要な場合のコンクリート強度(通常F=21N/mm²以上)
- 脱落防止・落下対策(ワイヤー固定、L字金具、避雷針の設置など)
9-4 許可申請の流れと書類
LEDビジョンを屋外に設置する場合、通常は次の手続きが必要になる。
【ステップ例(屋外広告物申請)】
- 自治体の都市整備課などに事前相談(担当部署の確認)
- 必要書類の準備
- 図面(設置位置、寸法、表示内容)
- 写真(周辺環境の確認)
- 構造図・強度計算書(構造物扱いの場合) - 所定の申請書類の提出と手数料納付
- 設置前の許可取得(通常1〜2週間)
- 設置後、完了届 or 現地検査
※申請業務は、販売会社や施工業者が代行する場合もあるが、設置者の責任での確認が前提。
9-5 よくあるトラブルと対策
| トラブル事例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 近隣から苦情が出た | 明るさ・点滅・音が強すぎる | オート調光/輝度制限の設定を初期段階で組み込む |
| 設置後に「違法」と指摘された | 無許可で設置、条例違反 | 設置前に地域の屋外広告物条例を必ず確認 |
| 落下・損壊で損害賠償 | 設計ミス・施工不備 | 鉄骨・基礎・フレーム設計を専門業者と共同確認 |
| 設置できなかった | 設置場所が“規制区域”だった | 事前に「設置可否マップ」「景観計画区域」などを確認 |
9-6 法的リスクを最小化する3つの行動
- 「自社が設置者」である意識を持つこと
→ 販売会社に任せきりにせず、責任主体として関わる - 自治体・役所への“事前相談”を欠かさないこと
→ 形式は整っていても、担当者の判断ひとつで差が出る - 設置後も「運用ガイドライン」を明文化しておくこと
→ 明るさ、点灯時間、音量、コンテンツ内容の内規化
LEDビジョンの導入は、技術的な成功だけでなく「法的な適合性」を満たして初めて事業として成立する。
特に屋外・公共空間では、「目立つこと」と「周囲に迷惑をかけないこと」の両立が求められる。
まとめ|法規制とリスク管理の基本
設置後にトラブルや違法状態にならないために、条例・建築基準・近隣対策をあらかじめ確認することが必要です。
LEDは目立つからこそ、「正しく設置し、正しく使う」ことがブランド信頼にもつながります。
必ず事前に“地元のルール”を把握しましょう。

